特例事業者とは

1998年にSPC法(特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律)が成立し、SPCの設立が可能となりました。SPCとは「Special Purpose Company」の略称で、日本語では「特別目的会社」と呼ばれますが、不動産特定共同事業法においては「特例事業者」と言われます。

不動産特定共同事業において3号事業者と小規模2号事業者で登場してくる「特例事業者」(SPC)についての特徴は下記の通りです。

・倒産隔離のため合同会社を設置し、事業者と分離する。
 この合同会社をSPCや特例事業者と呼びます。
・許可・登録にあたり合同会社の設置までは必要はなく、許可・登録後に設置し、行政庁に届出を行う。
・ひとつのファンド(プロジェクト)ごとに設置し、ファンド終了後に精算し、解散する。
・3号事業では、合同会社に対しての議決権を持つ一般社団法人を設置することもあります。
・不動産の取得、保有、収益分配などを行う(3号事業者や小規模2号事業者に委託可)。
   →SPCは、不動産を所有する「器」と表現されます。

倒産隔離とは、不動産証券化において関連事業者が倒産した場合に資産の所有者となるSPCがその資産に関する権利の行使をを関連事業者の債権者や管財から妨げられないようにするなどSPCが関連当事者の倒産の影響を受けないようにすることです。

         どんなメリットがあるの?

3号事業者の場合、倒産隔離システムである特例事業者(SPC)を用いることで、許可要件である資本金が、5000万円となります。(1号事業者の場合は1億円)。

小規模2号事業者の場合、例えばA不動産が小規模2号事業者の登録を得た後、複数の特例事業者(SPC)を設置しファンドを組成した場合、それぞれのファンドで投資家を募ることを委託するができます。

通常、小規模1号事業者の場合、出資限度額は1人100万円、総額1億円ですが上記のA不動産が甲ファンドとしてBという特例事業者(SPC)を設置するとこの甲ファンドで1億円、また乙ファンドとしてCという特例事業者(SPC)を設置すると乙ファンドで1億円までの資金調達ができ、合計10億円まで、つまり10個の特例事業者(SPC)まで可能となります。

業法的に申し上げますと「不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引に係る業務を委託する特例事業者が二以上あり、かつ、それぞれの特例事業者につき事業参加者が行う出資の合計額が一億円を超えない場合にあっては、十億円)」です。(不動産特定共同事業法施行令第2条第2項第2号)

この場合、ご注意いただきたいのは

①事業参加者が行う出資の価額 100万円(当該事業参加者が特例投資家である場合にあっては、1億円) 
②事業参加者が行う出資の合計額 1億円

この規定は変わらないので、個人投資家は上記の場合、甲乙ファンド合計で100万円まで、特例投資家は、甲乙ファンド合計で1億円となります。